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舟屋むかしいま

 - 丹後・伊根浦の漁業小史 -
著者: 和久田 幹夫
判型: AB判
頁数: 90頁
価格: 1,575円(本体1,500円)
ISBN:

著者まえがきより

海は多くの人びとにとっては、海水浴場であり、潮干狩り、ヨット、釣りなどを楽しむレクリエーションの場所です。しかし漁師にとってこの海は、年々尽きることのない富を生み出し、暮らしを支えてくれる宝庫であり、命がけの戦いの場なのです。


田畑のほとんどない伊根浦は、古くから海だけにたよらざるを得ず、それだけに真剣に漁業一本に生きてきた村です。それはきびしい自然とのたたかいであり、過酷な年貢や中間搾取に抗してのたたかい、農業と異なる複雑さをもつ漁場をめぐる争いなどなどの歴史でした。漁師たちはこれら多くの困難にひるまずたちむかい、誇り高く楽天的に生きてきました。


戦後「水産漁業協同組合法」が制定され、全国的な漁業の民主化改革が叫ばれた時、「伊根浦漁業会」は既に民主化を終えており、その名称を「伊根浦漁業協同組合」と変更したにすぎませんでした。
本書は、この伊根浦先輩漁師たちの不屈の生きざまを、改めて見なおしてみようとするものです。  
「網元のいない村」「全員が資本家で労働者」「社会主義的な村」などと言われ、多くの識者の研究対象となりました。


伊根浦には近世初期から「鰤株制」がはじまり、有株者は田畑をもち、鰤・鯨・海豚・鮪などを獲る権利をもち、村の役につき、「百姓」「役儀者」と言われました。一方無株者は、田畑はなく、小魚をとることしか許されず村の役にも一切つけず、「水呑」といわれ差別 され続けてきました。この社会的・身分的差別が解消されるには、長い苦悩にみちたたたかいがありました。
この社会的・身分制度解消の歴史的根拠と経過、意義などを、出来るだけ平易に解明することに二つ目のねらいをおきました。


本書は、以上二つに焦点をおきながら、 近世以降の伊根浦の特徴的な漁業と歴史をスケッチ風に記したものです。